NAKAIMA
中今 – オブジェがある部屋私は日本人なのに日本のことをあまり知らなかった。自分たちの足元に流れる時間の流れをたどろうとしたとき、古くからある文化や技芸を継承している人たちが忘れられようとしていることに気がついた。日々の営みから生まれてきた、さまざまなモノたち。そこには脈々と受け継がれてきた、美と叡智が秘められている。アンドレ・ブルトンの作法にならい、私はそれらをオブジェに仕立て、部屋の中に飾ることにした。いつでも触れられるように。いつまでも愛でられるように。「中今」店主敬白
絵皿 牛ノ戸焼
中今 - 永遠の過去と未来の中間にある今 このたび、新しく立ち上げるレーベル「中今」は、伝統的な技術と今日的な思考を重ねあわせ、和の未来を提唱する美と叡智のプラットフォームです。「中今」は神道の用語で、「永遠の過去と未来の中間にある今」を意味しています。現在の中に過去も未来も含まれているという捉え方は、日本の風土に根ざした自然観や時間感覚にもとづいています。日本各地を旅していく中で、いくつもの御縁があり、意欲的な作り手との出会いに恵まれました。新ブランド発足をお伝えする展示では、現代の生活様式にふさわしいアートフォームを開発し、ポップアップ・ミュージアムというかたちで、さまざまなオブジェをご紹介します。「中今」は、過去の中に未来を見いだし、伝統の中の革新をさぐる試みです。形態や意匠をアップデートし、手仕事の成果をモダナイズすること。新しい和の様式を探す旅でもあります。

OBJET 絵皿 その地域の土や水を用いて生み出されるやきものには、土地の記憶や空気が丸ごと封じ込められているのではないでしょうか。器とは、素材を通して地霊を招き入れ、円形にアイコン化したものなのです。絵皿アーカイブ第1弾として、今回は鳥取県の牛ノ戸窯、滋賀県の小山田窯でつくられた2つのやきものをオブジェ化しました。

小山田釜 - スリップウェアとは、”Slip” と呼ばれる化粧土や泥漿で模様を描いた器で、17世紀から19世紀にかけて英国で盛んにつくられていました。この陶器を蘇らせたのが、柳宗悦や濱田庄司らとともに民藝運動にとりくんだバーナード・リーチです。山田洋次は英国で修行を積んだ新進気鋭の作陶家。伝統的な技法に裏打ちされた器が人気を博しています。絵皿:山田洋次(YAMAYO POTTERY)[滋賀県甲賀市]
牛ノ戸焼 - 吉田璋也は柳宗悦らの考えに共鳴し、民藝運動を牽引した人物です。出身地の鳥取でも、江戸時代から続く牛ノ戸窯を訪ね、民藝としての方向を探りました。牛ノ戸焼は、黒・白・緑の釉薬を用いた美しい染め分けで知られていますが、三方掛け皿はそうした技法をよくあらわした逸品です。絵皿:小林孝男(牛ノ戸窯 六代目)[鳥取県鳥取市]
道祖面 - 長野県の路地には道祖神が数多く潜んでいますが、こうした路傍の神への信仰を家屋の中にも持ち込むことで道祖面が生まれたのだそうです。故・宮田嵐村は道祖面の第一人者。子孫繁栄を願い、性器がモチーフとなっています。そのユニークな形状に魅了されたフランスの民俗学者が、ピカソに道祖面を贈ったという逸話も残されています。道祖面:宮田嵐村[長野県松本市]
金箔漆瑪瑙石 - 瑪瑙石は微細な結晶の集合体です。蛋白石・石英・玉髄が岩石の中の空洞に層をなして沈殿した結果、美しい縞模様が生まれるのです。瑪瑙石は、その美しさゆえ、古くから、金・銀・瑠璃・玻璃・しゃこ・珊瑚に並ぶ「七宝」のひとつに数えられてきました。周囲にほどこされた金箔は漆芸によるものです。漆芸:角田高廣(漆貴 山猫堂)[山梨県北杜市]
手毬 - 日本では幾何学的な意匠がほどこされた球体を鞠と呼んできました。古い時代には神の持ち物として珍重され、打毬や蹴鞠といった遊びを通し、超越的な存在との交流を図ったとも伝えられています。神社の狛犬が鞠のような球体を抱えている姿は、その名残りなのかもしれません。手鞠作家石浦陽子が天野紺屋の染糸をつかった藍モデルと、白と黒で構成したブラック&ホワイトモデルを展示しています。手鞠:石浦陽子[山梨県笛吹市]藍染:天野尚(天野紺屋 五代目)[島根県安来市]
鎧リング | SAMURAI RING - 漆芸と貴金属を組み合わせ、現代的な装飾品を生みだす「漆貴」の試みです。土台となる銀に、朱漆や黒漆を重ね塗りし、蒔絵で装飾をほどこしています。戦国時代の兜をモチーフにした指輪では、兜部分と面部分、二通りの使いかたが楽しめます。中今とのコラボレーションモデルでは縅糸に藍染糸を使用しました。製作:角田高廣(漆貴 山猫堂)[山梨県北杜市]
かけ軸・大津絵 -  大津絵は江戸時代から続くフォークアートで、東海道を行き来する旅人の護符や土産物として、広く親しまれてきました。民藝 運動の創始者・柳宗悦は、何千枚、何万枚と同じ絵が描かれ、その繰り返しの中から生まれた美しさに注目し、大津絵を「民画」 と認定しました。今回、原画(大)と版画(小)を掛軸にするにあたり、天野紺屋が藍色に染め上げたファブリックを用いています。 絵:髙橋松山 四代目[滋賀県大津市] 藍染:天野尚(天野紺屋 五代目)[島根県安来市] 表具 : 凪於彌 NAOYA

NAKAIMA × 天野紺屋 AMANOKOUYA SINCE 1870 藍染 永遠の過去と未来の中間にある今江戸時代から続く絣の染織技術を、今に伝える糸染め専門の紺屋が「天野紺屋」です。創業は1870(文政7)年。当時と変わらぬ手法で、綿・麻・絹の糸を深みのある藍色に染めています。今回は伝統的な技法を用いたうえで、昨今の生活様式を考慮し、新たにTシャツやバンダナをつくりました。図案を手がけたのは、現代の4人の絵師たちです。

藍染バンダナ
まる唐草 - つる草が四方八方に伸びてからみあう唐草模様。どこまでも伸びていくツタの様子は、まさに生命力の象徴。一族の繁栄や長寿を意味し、縁起がよい吉祥文様として日本人に愛されてきた。そんな伝統的な絵柄を青蛙が植物が丸く絡まる様子を力強さを表現しました。 青蛙 天野紺屋5代目 天野尚 天野紺屋 五代目。作家名は青蛙。幼少時から藍色を身近に感じながら育つ。京都の成安造形短期大学で染め織りを専攻。帰郷後は祖父・圭の指導の下、 藍の染めや管理を学ぶ。糸染めとともに、布地を染める「藍型染め」も行う。  松ずくし - 松は松竹梅の筆頭にくるめでたい木であり常樹齢が長いことから長寿の木として親しまれています。門松飾りにも使われ神を待つという意味もあります。そんな日本古来から日本人に愛されている松の葉を中心にモノグラムデザインに落とし込みモダナイズした作品です。 石浦克 アーティスト アートディレクター TGB design. / TGB lab代表。1994年にデザインユニット「TGB design.」を結成。グラフィックを軸に、ファッション、映像、プロダクト、キャラクターデザイン、アプリ開発など、ジャンル横断的に多彩なデザイニングに関わる。2013年にはクリエイティブ・プラットフォーム「TGB lab」を設立。  つむぐこころがめぐるとき - 世界でも類を見ない、1万年以上続いた縄文時代を生きた人々。彼らは、木の枝が動く「わけ」を風のせいとせず、自らの手が動くのと同じく、木自身の生命性だと考えたようです。自然と交感し一体となった彼らの感覚は、現在の僕らには理解できないかもしれません。しかし、彼らが作った土器には、言葉にならない心が宿っていると思うのです。 三嶋章義 アーティスト アートディレクター 1978 年大阪府生まれ奈良県育ち、東京在住 グラフィックデザインを学び、平面、空間、映像のアートディレクション、ファッションブランド FUGAHUMの立ち上げ、フジロックフェスティバル など様々な現場でのVJなど、ジャンルの垣根がない制作活動をおこなう。 2006年以降、現代美術作家として国内外で作品を発表。NANZUKA(東京)、Nagel Draxler (ベルリン、ケルン)所属。 多様化した現在で感じずらくなっているモノゴトに目を向け、感じ伝えられた感覚を考察し、人類に残すべき選択肢を増やすことを制作活動の目的とする。NANZUKA (Tokyo)  髑髏と煙管 - スカル&ボーンズの代わりに、髑髏と煙管をモチーフに製作。風雪にさらされて白骨になったさらこうべ(髑髏)にMemento mori(自分がいつか死ぬ事を忘れるな)、相撲、囲碁、お囃子などの姿にCarpe diem(今という瞬間を楽しめ)というメッセージを込めた作品。 ドナルド・ムネアキ 改造士。改造見世物小屋「+R.I.P. STORE」店主。利益や利便性の追求で、皆が置き忘れたジャンクを、ジュエリー、インテリア、舞台美術など、さまざまなモノに改造することを生業にする。ワタリウム美術館のミュージアムショップ「ON SUNDAYS」にて改造見世物小屋「+R.I.P. STORE」を運営。
Pop-Up Museum at WARE-mo-KOU Shibuya Tokyo

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